当事者と傍観者

ランニングマシーンに乗って汗だくになりながらしんどそうな顔をしつつその場で走る人。
そんな姿をはたから見ていると、そんなにしんどい思いして何になんねん、と思ってしまう。

だが、立場が入れ替わって自分がランニングマシーンに乗る段になると、見える世界はがらりと変わる。

リアルな衝撃が足から全身に伝わっていく。

心拍数を示すデジタル数字が点滅のたびに増えていく。

息は上がり、足の感覚が遠のいていく。

 今すぐにでもマシンから降りてしまいたい、という衝動に駆られる。
 今すぐにでもマシンから降りてしまいたい、という衝動に駆られる。
 今すぐにでもマシンから降りてしまいたい、という衝動に駆られる。

それでも我慢して走り続ける。
体中から汗が吹き出す。

逃げるのは簡単。誰も「逃げるな」とは言わないから。
誰も止めてくれない。止められない。

「さくら、止めるなら今のうちだぜ」

走り続けるのは、当事者の特権。
傍観者には止める権利はない。

納得がいくまで走り続ける。