束縛される宿命


「規則に縛られるのが大好きなんです」という石塚さんは学生時代から校則通りに生活をし、現在でも階段の上り側、下り側もきっちりと守っている。

特にこだわっているのが食べ物の賞味期限。翌日の仕事が昼からだとしても、『○月×日午前7時』が期限の食べ物があると午前6時50分には起床し、10分以内で食べ、再び眠るという徹底ぶりだ。


人は束縛されることを嫌いつつ、しかし何の束縛もないと不安を感じる。

会社にいて拘束されている時間と解放されて自由に過ごしいてる時間とでは、時間の質が明らかに異なる。同じ長さの時間であっても心身の受け止め方が違う。

いくらカレーが好きであっても毎日3食カレーばかり食べ続ければいつかは飽きる。飽きは精神的なものであって、肉体にとってはカレーだろうが牛丼だろうがあまり関係ない。健康とか栄養といった尺度は人が組み上げた後付けのものに過ぎない。

仕事を終え、退社間際のリラックスしたひととき。
激しい運動の後の心地よい疲労感。

は虫類からほ乳類に進化したことにより、大脳新皮質という新しい衣を身にまとった人間は精神の消耗と肉体の疲労という2つのアンビヴァレンスに翻弄される宿命を受け容れた。