コミットメントするということ


ICカードの活用というテーマで、
●読者はビジネスマンが中心、
●A5/200〜250ページ、
●見開き構成(左ページが文章、右ページが図版)、
●4月中旬に打ち合わせ、即執筆開始、1週間〜2週間で納品。

いつまでに何をするかを明確にし、それを人に伝えた上で行動をする。
制約を設け、定められた範囲の中で所期の目的を果たす。

好きなことを好きな時間に好きなように書くだけならこれほど楽なことはない。締め切りがないので、気が向いたときに机に向かって、字数制限もなく思ったことをつらつらと書く。

しかし、楽であることと楽しいこととは別次元の問題。

書いていて楽しいと感じるのは、読者の期待と満足に対する張り合い。
楽して独りよがりで書いていても、どこか空しい。

日産のカルロス・ゴーン氏は、不退転の決意で黒字にして見せるという約束をし、結果それを履行した。

どんなときでも人脈や時間やお金といった資源は有限であるはずなのに「今日はここまでにしよう」「明日やろう」「これくらいでいいか」といった妥協が簡単にできてしまうのは冷静に考えると矛盾をはらんでいる。

入念な準備と裏付けに基づいた正確で洗練された仕事をしたいと思いつつ、細かい部分はある程度あいまいなままにしておいて逃げ道を確保するという抜かりなさもあわせ持つ。

有言実行で事を成すことは簡単ではないが、無言実行であっても別の意味で難しい。
沽券(こけん)にかけて闘うか、自分の甘さと闘うか。
コミットメントする方が尻付き火がある分、有利かも知れない。