「やりたいこと」は、やってくる


「いつまでもフリーターというわけにはいかない。ここでやりたいことを見つけたい」
日本経済新聞 2001年5月14日・朝刊「サラリーマン」(社会面)


「今日はアスパラのバター炒めを作るから、アスパラを買いに行こう」と思ってスーパーに出かけたら、アスパラは思いのほか高く、それに対して目に付いた茄子が安かったので茄子を買い込んで、食卓にはまんまとマーボ茄子が並んでしまうということがある。アスパラのシャリシャリした歯ごたえも捨てがたいが、マーボ茄子のアツアツなところをふーふーしながら食べるのも悪くない。シャリシャリ感は想像の域を出ないがマーボ茄子のアツアツ感は実際に味わうことになる。

想像は得てして頭の中で増幅する。自分にとって好ましい(あるいは好ましくない)部分ばかりが強調される。想像ばかりしていると、頭の中は現実とはほど遠いいびつなイメージでいっぱいになる。

人の思考が及ぶ範囲は極めて限定されている。1人では思いつけなかったり考えつかないことでもみんなで集まればうまくいく、というものでもない。良い商品企画は会議室ではなく現場で生まれることが多い(なんかそういう映画があったけど)。

前に進む場合は、過去の経験を辿るより現在に体験を積み上げた方が道が開けることが多い。

そして、「やりたいこと」として頭に思い描いたものと、実際にやってみて「これがやりたいことだったのだ」と気づくこととの間には埋めがたいギャップがある。

問題は、気づいた時にすぐに腰を上げられるかどうか。