風邪を引いたら桶屋が儲かる

風が吹くと砂ぼこりが出て盲人がふえ、盲人は三味線をひくのでそれに張る猫の皮が必要で猫が減り、そのため鼠がふえて桶をかじるので桶屋が繁盛する。思わぬ結果が生じる、あるいは、あてにならぬ期待をすることのたとえ。(『広辞苑』)

何かよくないことが起こると、人は過去に原因を求める。しかし過去は再現できない以上、因果関係は推測の域を出ない。

風邪を引くと、夕べは寒かった、職場でうつされた、ここのところ睡眠不足だった、など様々な原因が考えられるが、どれか1つだけがトリガーかも知れないし、複数の要因が複合して関わっているかも知れない。

今後も生きていくつもりである限りは、同じ災いは何としてでも避けたい。何か対策を打つにためは仮説であってもいいから原因を設定する必要がある。

人の行動の原点には本能があり欲望がある。災いを避けたいという生存本能のもと、何かを知りたいという知識欲が人を仮説の検証に駆り立てる。このプロセスの中で、人は歩を前に進める。

何もかもうまくいって平和な毎日ばかりが続いたら、きっと新しい発見や思わぬチャンスには出会えない。