自動振り分けか、手動振り分けか?

近頃のメーラーにはたいてい自動振り分けという機能がついている。メールを届いた時点でデフォルトの受信箱ではなく、予め作っておいた振り分け先に捌(さば)いてくれる、あの機能。

この機能は有効にすべきではない。

一見便利そうだが、その便利さは表面をコーティングしているだけに過ぎない。薄皮を一枚剥けばリアルなカオスが広がっている。見たくないものをバーチャルな心地よさで隠ぺいしているだけだ。

「大学時代の友人」「会社」「メルマガA」「メルマガB」など振り分け先はたいてい自分の役割や追っているテーマごとに設定されている場合が多い。振り分けられた後、初めのうちは各振り分け先を順番に巡回チェックしていくのだが、次第にチェックしきれずに“次回見送りな振り分け先”が出てくる。未読メールが溜まっていく。そうなると実体以上に脅威的な存在となり開くのが億劫になる。土日まとめ読みでも歯が立たない。放置される。そして人の興味は尽きない。その間にも新たな振り分け先は容赦なく増えていく。

役割やテーマが増えてもあなたは一人の人間であることには変わりがない。役割という「部分」が先にあるのではなく、自分という「本体」が先にある(当たり前だけど)。役割ばかりを見ていると何が目的だったのかがぼやけてくる。役割に振り回されると、自分が見えなくなる。

そこで、以下2つのことを実行する。

  1. 届いたメールは全て一旦受信箱上にプールして、自分の目で確かめてから振り分けるようにする。
  2. 検討や返信が必要なメールは未読状態のまま受信箱に滞留させる。

こうすると、受信箱には対応が必要なメールだけが残るようになる。受信箱以外はすべて対応が不要なメール、ということになる。

受信箱は外からの窓口であると同時に、現在アクティブな自分の机上でもある。多すぎて受信箱の中身が把握できないのなら、受信するメールを減らすしかない。届いても読まないのなら届かなくても状況は変わらない。


一つ一つ、順番入魂