その壁は行く手を阻むのか、身を守るのか?


技術者というのは不思議なもので、経験を積めば積むほど臆病になりがちだと思う。なにをするにも、安易に物事を決定することを恐れ、大胆な行動がとれなくなってしまう。やたらに前提を設けたり制約を付けてみたりして、発想さえも無難になりがちになる。
一志達也氏 「一志達也のSE、魂の叫び」より


「自分にはここまでしかできない」「自分にはこの仕事は向いていない」「この商品は市場には受け入れられない」「こんな金額では利益は出ない」「そんなやり方ではうまくいかない」「あの人には無理だ」。

何か行動を起こそうとするとき、人は多かれ少なかれ「思いの壁」に阻まれる。「思いの壁」は気づかぬうちに心の中に築かれる。何も知らない無垢な状態では、できることは限られるが、発想は無限に広がる。知識は増えれば増えるほど行動の制約と化し、発想は貧困になる。あるいは「思いの壁」に囲まれている状況にかこつけて現状に安住しているだけかも知れない。

事情を知らない人はたいてい大胆になれるが、事情を知っていながら大胆になれる人もいる。「恐いもの知らず」は出発点であり終着点でもある。


自分がわかっていると思う範囲では見えなかった新しい価値が発見できる