パターンに集中する

「知り尽くしている。」

自分の周りを取り囲んでいる見ず知らずの人々がつぶやく。

中学生の頃。
毎週日曜日に近所のバッティングセンターに足繁く通っていた。
バッティングではなく、ゲームが目的。

ギャラリーに取り囲まれながら、コナミグラディウスIIというシューティングゲームに熱中していた。
全8ステージだが、8ステージを終えると再び1ステージからの繰り返しになる。
これを「1周する」と呼ぶ。周を重ねるほどに敵の放つ弾は速く多くなり、難易度が上がる。

3周くらいが自分の上限だったが、ゲーマーは何周もする。1コインで何時間でも遊べる。

何周もできるのは「うまいから」だと言ってしまえばそれまでだが、「うまさ」を分解すると、パターン化能力に辿りつく。

場面ごとにどの位置から敵が出てきて、どのような攻撃を仕掛けてくるかは、ほぼ決まっている。何度もやっていれば覚えてしまう。すると敵が弾を撃ってくる前に攻撃を仕掛けることができる。敵の出現する順番を覚えておけば無駄な動きはなくなる。常に先手を打つことで確実にステージを制覇することができる。

新聞は経済面や社会面などのページの位置が決まっているが、ページの中にも「なわばり」のようなものがあって、毎日同じような位置に同じような記事が載る。慣れてくれば場所だけで「あぁ、あの事件の続報だな」とわかる。

相手のパターンを読み取れれば、素速く情報を集めることができ、行動も早くなる。
「知り尽くしている」状態に近づくことができる。