整形と捨象の値段

共働き夫婦の場合、睡眠や食事など「生理的生活時間」に約10時間が必要だ。通勤時間も含めた「収入労働時間」は、夫が約11時間30分、妻が約8時間30分。調理や掃除など「家事的生活時間」は夫が約30分、妻が3時
間30分。夫も妻もこれらの時間の合計が約22時間になる。

つまり、1日24時間から生きるために必要な22時間を引いた残り約2時間が、新聞を読み、テレビを楽しみ、家族との団欒を過ごすための「社会的・文化的生活時間」になる。ちなみにこのうち新聞は約15分、テレビ・ラジオは約30分とある。

では、これにインターネット利用時間を当てはめるとどうなるか。それは「社会的・文化的生活時間」の"2時間"のなかでしかない。だからほとんどの人は、1日2時間以上インターネットを使うようなサービスに加入しても仕方がない。2時間以上利用しようとすると、あなたは夜更かし・寝不足に陥ることになる。


テレビにしても新聞にしても、本や雑誌もひっくるめて、すべて編集のプロセスを経ている。これらと同じ括りでインターネットをとらえた場合、この点が決定的に異なる。

例えば、インターネットの掲示板には編集の概念はない。書き込む人が書いた通りそのまま全部が掲載される。すべて当人に委ねられている。書き込んでいる当事者ならではのリアルな息づかいを伝えることができる。

編集は限られた枠の中に収めるための第三者による整形であり捨象である。編集はどこまでいっても当事者になることはできない。ただ、その代わりに選別の代行という付加価値を提供する。

編集なしに2時間だけではとても読み切れるものではない。