ゼネラルなスペシャリストになる

優秀な人は頭の、つまり考える仕事をし、そうではない人が手足の、つまり体を使う仕事をすると思ってきた。(…中略…)

物書きもたとえば新聞のスクラップをし、分類して保管する。それを誰かに任せてもいい。しかしスクラップし、分類保管する作業の間に、色々な情報が頭を通り、ためつすがめつの思索を強い、テーマを深めてくれる。

日本経済新聞 2001年6月7日・夕刊 江波戸哲夫氏「“手と頭の分業”見直す時」

契約先の会社の課長が言っていた。

「日本の会社は総務から経理、営業といろいろな仕事を経験させてゼネラリストを育てようとしてるから、あんまりスペシャリストが出てこない。だから転職する人も少ない。そもそもゼネラリストって役に立たないんだよね」

ゼネラリストとかスペシャリストという最終形態はともかく、何でもかんでもとりあえず自分でやってみることは無駄ではない。自分の専門ではないから人に頼む、という判断は実際に自分でやってみてからでも遅くはない。そのほうが人に頼むときにも誤解や行き違いが生まれにくい。

スペシャリストは1つのことしかできないわけではないし、ゼネラリストだからといってすべてのことをまんべんなくこなせるわけではない。

できるようにならなくてもいいから、とにかく自分でやってみる、という体験をたくさん積んでおく。このプロセスに本質がある。いろいろな分野のことを自分の体で知っていればこそ、安心して自分の専門分野に没頭できる。