新たな発見


午前7時。人影もまばらな霞ヶ関の官庁街。足早に職場へと急ぐ一人の男性が、通産省大臣官房調査統計部の小石雄一氏(37)だ。

朝5時半に起床し、入浴を済ませた後、自宅を出る。だれもいない職場で、好きな音楽を聞きながら、前日の仕事を片付ける"朝残業"がすっかり身についた。夕方は6時に職場を出るという毎日だ。

日本経済新聞 1995年8月6日・朝刊「朝型シフトで『自分の時間』」


普段しないことをすると、新たな発見に出あうことが多い。

学生時代、徹夜でレポートを仕上げたある朝のこと(1993年10月1日)。

学校に行くにはまだ早い時間であったが、そのまま家にいると寝てしまいそうなので行くことにした。
朝のラッシュに巻き込まれることなく到着。
人影まばらな学内は静寂な空気に包まれていた。

とりあえず薄暗い学食へ行き、一人でパンとコーヒーの食事を摂る。
まだ一限の授業まで1時間ほどある。
持ってきた朝刊を読み、授業の予習をする。

しばらくすると続々と学内に人が押し寄せてきた。
一仕事終えた気分で一限の教室に向かう。
ギリギリに駆け込んでくる人との精神的ゆとりの差は歴然。
遅刻をすることもない。

このような前倒しの時間の使い方は徹夜の副産物である「早朝登校」がなければ気づくことはなかった。

会社の仕事においてもこの考え方は適用可能だろうと想像していたが、大学を卒業する前に小石雄一氏が同じことを実践しているという記事に出会ってしまい、「やはり想像通りだった」と自分で発見する機会は失われてしまった。

自分で発見するには、人がしないことをする必要がある。