わかりやすさ

僕らは非常に記号化された社会の中で生きているので、「イギリスの車でアメリカ風のレストランに入って、茶色の発泡ジュースを飲んだ」と書くのと、「ジャガーデニーズに入ってコカ・コーラを飲んだ」と書くのとどちらにリアリティーがあるかということですね。
日経ビジネス 2001年3月12日号 p.200
作家・山川健一氏(『ニュースキャスター』著者)インタビュー


何かについて「わかりやすい」と感じるためには、それが自分にとって馴染みのあるものか、それに似たものである必要がある。自分にとって馴染み深ければ、文字通り、染み入るようにそれを理解することができる。

「わかりやすい」と感じてもらうためには、相手にとって馴染みのある、すなわち相手にとって新しくない言葉で語る必要がある。例えば、今までにない斬新な機能を搭載したソフトウェアのマニュアルを作る場合は、その斬新な機能をどれだけ相手の身近にある言葉で表現できるかが問われる。

回りくどい説明をするよりも、多少ズレていても類似した具体的なモノを見せた方が相手の理解は早まる。人は自分がわからないものにはあまり近づこうとしないが、わかり始めたものには積極的に自分からアプローチする。

食べたことのない料理について、その材料や製法についての説明をくどくどと受けるよりも「鶏肉みたいな口当たりです」と言ってもらった方がピンとくる場合が多い(カエルの丸焼き)。